Direct Frequency Comb Spectroscopy

光時計のその先へ – 多彩な分光ツールとしての周波数コム

  • デュアル光周波数コム分光
  • 共振器増強周波数コム
  • 中赤外光周波数コム分光
  • コヒーレント制御
  • リモートセンシング
  • レーザーによる燃焼診断

光周波数コムはもともと、光周波数計測の分野で光周波数や時計の周波数カウンターとして用いるため開発されたものです。この初期の目的に加えて周波数コムは直接的に分光学にも適用することができます。その優れた周波数精度、高いスペクトル純度、広い発振スペクトル範囲により、非常に便利でユニークな分光ツールとして活躍の場が拡がっています。

Different kinds of frequency comb methods

直接的光周波数コム分光法にはさまざまな種類があります。例えばデュアルコム分光法、共振器増強コム分光法、中赤外コム分光法、コヒーレンス制御やリモートセンシングなど、これらの技術はほんの一例に過ぎません。これらの手法はすべて周波数コムが測定試料と相互作用した後に発生する光を分析することに基づいています。

例えばデュアルコム分光法では、発振線の間隔がわずかに異なる2台の光周波数コムを使用します。それぞれの周波数コムからの光のペアからラジオ周波数のビートノートが検出器上に発生します。このようにして、光の周波数が電波に変換され一方の周波数コムが測定試料と相互作用することで生じる振幅と位相の変化を検出することが可能となります。[1,2,3]

High finesse cavity mode with enhanced comb spectroscopy

共振器増強コム分光法では、すべての発振ラインが効率的に高フィネスの共振モードに結合されます。これにより分子ダイナミクスの超高感度検出や微量ガス分析のための複数かつ並列した測定チャンネルを生み出すことが可能です。ここでの主な利点は、広いスペクトル帯域幅、高いスペクトル分解能、また高感度と高速な取得時間の全てを組み合わることが可能な点です。他の多くのアプリケーションに加えて、これらの優位性は特にアト秒科学にとって魅力的です。また共振器ミラーを慎重に設計することで,共振器増強コム分光法は励起レーザーとしてオフセットフリーの周波数コムと組み合わせて使用することも可能です。これは安定性の点で優れており、数10MHzの繰り返しでアト秒パルスを発生させることができます。[4]

Mid-IR region

中赤外領域は強い分子指紋を持つため、短い取り込み時間、高感度、高精度を特徴とする直接周波数コム分光法にとって特別な関心を集める波長領域です。 [4,5] 領差周波発生により中赤外領域の周波数コムを発生させることはできますが、一般的に出力が小さく、このため検出時間を短くすること、及び高い感度を得ることができません。トプティカ社では連続波光パラメトリック発振器(OPO)で近赤外デュアル電気光学コムを効率的に中赤外域に変換するシンプルな技術を実証しました。本実験で得られた中赤外デュアルコムは、1Wを超える光パワーを伝送し、2.2~4.0μmの範囲で広く波長チューニング可能で、コムのライン間隔はkHz~GHzの範囲で広く調整可能である。[3]

Control of quantum state

直接コム分光法の特に興味深い応用例は、例えばトラップされたイオンなどの冷たい粒子の量子状態をコヒーレントに制御することにあります。直接コム分光法では、トラップ周波数よりも高速な演算が可能であり、量子もつれを利用した量子論理ゲートが実現されている [5,6].

Measurement of greenhouse gases

温室効果ガスのリモートセンシングには、デュアルコム構成の直接周波数コム分光法が応用可能です[6,7]. ここでは微小なガスの増強を長距離にわたって正確かつ連続的に測定することで、地域の温室効果ガスの移動、発生源、吸収源についての理解を深めることができます。将来的にはポータブルなシステムによって、地域的なモニタリングが可能になるでしょう。

European Quantum Flagship Projects

German Quantum Technology Projects