ラマン分光

分子を識別するための化学的指紋の提供

ラマン分光法はシステム内の振動、回転、および他の低周波モードを研究するために使用される技術です。また分子を化学的に識別することを可能にするフィンガープリントを提供するための手法として用いられます。単色光の非弾性散乱(またはラマン散乱)に基づいています。励起光には可視波長、近赤外波長または近紫外線範囲の波長を有するレーザ光源が一般的に用いられます。

レーザ光とシステム内の分子振動、フォノンまたは他の励起源との間の相互作用は結果としてレーザ光の周波数シフト(アップまたはダウン)をもたらします。レーザ周波数のシフトはシステムにおける振動モードに関する情報を提供します。類似していますが相補的な情報は赤外分光法を用いて得ることが可能です。

典型的なラマン光学システムでは試料にレーザを照射し、集光レンズを用いて集められた光はその後に続くモノクロメーターに入射されます。フィルタ(ノッチフィルタ、エッジパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ)を使用してレーザラインに対応する波長の弾性散乱放射(レイリー散乱)がフィルタリングされて除去されます。残りの集められた光は検出器上で分散されます。

自発ラマン散乱光は典型的に非常に弱いためラマン分光法における主な難点は弱い非線形散乱光(典型的には10-6)を強いレイリー散乱光から分離することが上げられます。したがって使用するレーザ光源の自然増幅放射光(ASEノイズ)の強力な抑制が必要となります。 TEM00レーザービームの小さな焦点と顕微鏡との組み合わせはマイクロラマン散乱をもたらします。

この技術では(試料の自己蛍光を減少させるために)785nmと同様に532nmの波長が一般的に使用されます。また半導体検査などの分野では405nm266nmまたは213nmのより短い波長が使用されます。

近年注目を集める時間分解ラマン分光法および他の顕微鏡応用(例えば燃焼プロセスを最適化し、燃料消費を低減する目的で行われる飛行機エンジン排気ガスの高速測定等)においてはフェムト秒およびピコ秒領域で動作する超短パルスレーザ光源が必要とされます。この用途の光源としてさまざまなブロードバンドCARSおよびSRSアプリケーションで優れた性能と適合性が既に証明されているFemtoFiberレーザシリーズが最適と言えます。